ToHeart Adaptationについて

 Leaf / AquaPlusが開発/販売するPC/PS向けゲームソフト「ToHeart」(俗称:東鳩)素晴らしい作品です。そこには数多くの魅力的なヒロインたちが何人も登場し、幾多の目くるめく恋の物語を展開します。そのドラマがいかに素晴らしいものであるかはここで改めて星海が語らずとも、ここ数年の様々な社会状況の推移が物語っているでしょう。
 しかし、この作品にはひとつ、致命的かつ根本的な問題が存在します。
 それは

 主人公(ディフォルト名:藤田浩之)がある一時点でただ一人のヒロインしか選ぶことができない
ということです。
 あかりがヒロインとして恋を全うしたとき、芹香先輩やいいんちょや葵ちゃんたちは孤独の中にあります。仮に芹香先輩を選んだとしても、その瞬間、あかりは長く想い続けてきた幼なじみの男の子を失うことになるわけです。全てのヒロインが等しく幸せになるエンディングは作品中に存在しません。これは「主人公はただ一人である」というシステムの構造的な問題であり、それを回避する方法は作品中にはあり得ません。
しかし、そらそーかも知れんけどよー。
 星海は考えました。
それじゃいくらなんでも彼女たちが可哀想ぢゃねーか。誰か一人だけしか幸せになれないなんてよー。みんな一緒に幸せになってもいいじゃねーかよー。
 至極まっとうな発想であろうと思います。そこで星海はその対策を考えました。
なんとかみんなが幸せになれる方法はないかな〜
 そして、辿り着いた結論は「とらハ2方式の導入」でした。JANIS/ivoryの作品である「とらいあんぐるハート2」では、主人公の恋の相手に選ばれなかったヒロインの娘は、なんと主人公以外の彼氏を見つけてきます。ゆうひ狙いでプレイしていて、みなみちゃんが彼氏の話題を始めたときはちょっとショックだったものです(笑)
 しかし、これなら「主人公との恋の成就」というベストな状態でなくとも、少なくともよりベターな状況でエンディングを迎えることが可能です。
 そこで、その「“落選”したヒロインの娘が浩之以外の男のコとの恋を見つける」お話として書いたのがこのToHeart Adaptationであるわけです。
 従って、この物語に登場する見慣れたヒロインたちは見慣れない男たちと恋に落ちます。なぜなら、我らが藤田浩之くんは彼女以外の女の子とすでに強い絆を結んでしまっているからです。浩之に代わって“バッターボックス”に入る男のコたちは星海なりにヒロインの娘に合わせて考えてあります。むしろ浩之のキャラクタとは大幅に違うキャラ設定になっているといっていいでしょう。これは“割れ鍋にとじ蓋”、ヒロインの娘に相応しい男のコとしてどんなヤツが望ましいか勘案した結果です。
こんなヤツがあの娘の結ばれるなんて許せん!
ってな意見の方も当然おられるでしょう。そーゆー方はそもそもToHeart Adaptationなるこの作品群の存在そのものを忘れていただいて結構です。星海は星海なりに、彼女たちの幸せを勘案してその相手を選んだつもりです。

 ちなみに、本来の主人公・藤田浩之くんが選んだことになっているお相手ですが、やや変化球になってます。ふつうに考えると、(アニメ版がそうであるように)あかり辺りが順当であろうと思われます。しかし、このToHeart Adaptationでは敢えていいんちょが採用されています。
あかりじゃベタ過ぎて面白くない
とゆーのがその理由です。まさに星海のへそ曲がり加減が面目躍如といっていいでしょう。

 なお、ToHeart Adaptationは単にToHeartの二次創作であるだけでなく、古今東西多くのの美少女ゲーム及びその周辺をもネタにした多重構造を持っています。そこで、各種ネタに関する脚注をハイパーリンクの形で付けておきました。多分に興醒めの蛇足ではありますが、興味のある方はどうぞ。

 それでは、“脚色されたToHeart”、ToHeart Adaptationの世界をお楽しみください。


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